神社と神宮は何が違うのか。霧島神宮は、その答えを30分の参拝で体感できる場所です。
2019年11月、鹿児島空港からレンタカーで立ち寄りました。
予備知識がなくても荘厳さは伝わりますが、3つだけ知ってから歩くと、鳥居の先の見え方が変わります。

この奥に、天孫降臨の神をまつる朱の社殿がある
| 訪問データ | |
|---|---|
| 訪れた時期 | 2019年11月(秋) |
| 滞在時間 | 約30分 |
| 交通手段 | 鹿児島空港からレンタカー |
| 備考 | 本殿などの国宝指定(2022年)より前の訪問 |
Impression|ひとこと
空港から霧島温泉郷へ向かう道中に、30分で立ち寄れる名所です。行きやすさと名所らしさの釣り合いがよく、宿に直行するだけでは物足りないと感じた日の寄り道にちょうどいい場所でした。
鳥居から杉並木の参道を進むと、説明板を読まなくても格の高い社だと分かる空気があります。その格がどこから来るのかを、次の章で整理します。
Why Jingu|神社と神宮はどう違う?
答えは、まつっている神の違いです。神宮は、皇室の祖先や歴代の天皇、皇室とゆかりの深い神をまつる神社だけが名乗れる呼び名で、全国に20数社しかありません。
| 呼び名 | 何を表すか |
|---|---|
| 神宮 | 皇室の祖先や天皇をまつる。伊勢神宮、明治神宮、霧島神宮など |
| 大社 | 広く信仰を集めてきた大きな神社。出雲大社、春日大社など |
| 神社 | 最も一般的な呼び名。特別な条件はない |
霧島神宮は、神話の系譜の起点
霧島神宮がまつるのはニニギノミコト。天照大神の孫で、天から高千穂峰に降り立ったと神話に語られる神です。そこから初代の神武天皇までの4代は、南九州の神宮に一代ずつまつられています。
| 神(系譜) | まつる神宮 |
|---|---|
| ニニギノミコト (天照大神の孫) | 霧島神宮(鹿児島県霧島市) |
| 山幸彦(ニニギの子) | 鹿児島神宮(鹿児島県霧島市) |
| ウガヤフキアエズ (山幸彦の子) | 鵜戸神宮(宮崎県日南市) |
| 神武天皇 (ウガヤフキアエズの子) | 宮崎神宮(宮崎市) |
南九州で神宮をひとつだけ選ぶなら、この系譜の始まりをまつる霧島神宮です。空港から近い行きやすさも含めて、鹿児島に来たら寄っておく価値があると判断します。
なお、霧島神宮と呼ばれるようになったのは明治7年(1874年)からです。それまでは霧島権現と呼ばれ、神と仏をあわせて拝む山の信仰の拠点でした。
Geography & History|地理と歴史
社殿は、噴火のたびに山を下りてきた
最初の社殿は、高千穂峰と御鉢の火口のあいだにありました。噴火で焼けるたびに場所を移し、いまの場所に落ち着いたのは1484年です。参道を歩きながら北東の山を見ると、神社がどこから来たのかが分かります。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 6世紀 | 高千穂峰と御鉢のあいだに創建されたと伝わる |
| 788年 | 御鉢の噴火で焼失。のちに高千穂河原へ |
| 1234年 | 御鉢の噴火で再び焼失 |
| 1484年 | 島津家の命で現在地に再興 |
| 1715年 | 失火で焼けた社殿を、薩摩藩主の島津吉貴が再建 |
| 1874年 | 霧島神宮に改称 |
| 2022年 | 本殿、幣殿、拝殿が国宝に |
朱の社殿は、薩摩藩の寄進
いまの社殿は1715年、薩摩藩主の島津吉貴が寄進したものです。南九州を治めた島津家が、天孫降臨の神をまつる社をどれほど重んじたかが、この朱の色に表れています。2022年には本殿、幣殿、拝殿が国宝に指定されました。
西の展望所から、もうひとつの火山が見える

展望所からは錦江湾を越えて、南西の桜島まで見通せる

霧島と桜島、鹿児島の二つの火山を一度に見渡せる
境内の西に張り出した展望所からは、晴れていれば錦江湾の向こうに桜島が見えます。噴火から逃れて山を下りてきた神社から、いまも噴煙を上げる火山を眺めることになります。参拝のついでに数分立ち寄る価値があります。
ご神木は、社殿より先にここにいた

幹にびっしり付いたシダが、この森で重ねた時間を物語る
社殿の前庭に立つ大杉は、樹高およそ38m、樹齢およそ800年とされ、社殿が1484年にこの地へ移ってくる前からここにあったと伝わります。社殿を見たあとに見上げると、神社よりも古い住人がいることに気づきます。
Practical|実用メモ
参拝時間や駐車場の条件は変わるため、公式サイトで確かめてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 展望所を含めて約30分 |
| 交通 | 溝辺鹿児島空港ICから車で約40分(かごしまの旅による) |
| 駐車場 | 無料、約500台(公式サイトによる) |
| 見流しやすい | 西の展望所。晴れていれば桜島まで見える |
Stay Nearby|近くで泊まる
霧島神宮に寄る日は、そのまま霧島温泉郷に泊まるのが自然な流れです。
翌日は山を下りて鹿児島市内へ。2泊目を温泉付きのシティホテル、シェラトン鹿児島にすると、山の湯と街の夜を一度の旅で両方味わえます。


出典
- 文化庁 文化遺産デジタルコンテンツ:霧島神宮(背門丘、1484年の移転、1715年の再建)
- 霧島ジオパーク:文化・歴史
- 霧島市観光情報:霧島神宮(788年、950年、1234年、失火による焼失、ご神木)
- 九州の神社:霧島神宮(1874年の改称と官幣大社)
- 宮崎観光写真:霧島神宮の御神木(樹高、1484年以前からあったとされること)
- Wikipedia:霧島神宮(2022年の国宝指定、西御在所霧島権現)
- 九州旅:霧島神宮(標高およそ500m)
- 霧島神宮 交通アクセス(駐車場)
- かごしまの旅:霧島神宮(空港ICからの所要時間)
- 言葉の救急箱:神社、神宮、宮、大社の違い(神宮の数と定義)
- 南九州御朱印めぐり(霧島・鹿児島・鵜戸の各神宮の祭神)
- 宮崎県 神話の源流(神武天皇と宮崎神宮)
